殺人事件数の比較について。フランス、日本、あと、アメリカ。
きょうはニュースから!
フィガロに出ていた、フランスで過去3か月の殺人数が急増した。という話題。
過去3か月(5月~7月)のあいだに248の殺人事件が起きたとのこと。これは内務省が発表したもので、前3か月とくらべ殺人は16%増加。とくに、5月が72件、6月に75件なのに対し7月だけで101件発生したとのことで、飛び抜けて7月が多い。
7月25日、90歳代の女性が自宅で強盗に襲われたまま衣類の山の下から遺体となって発見された事件。同日、2月末に17歳の青年を殺害した別の事件で2人が検挙された。別の地方では、夕方に犬の散歩に出かけたアルメニア人の男性がナイフで何度も突かれた事件が起きた。、、、など。
私はこれを聞いて一瞬「"猛暑”のせい・・・?」と思ったのだけど、それは記事内であっさりと否定されていた。それよりも、専門家によると別のカギがあるとのことだ。
まずは、もともとコルシカ島の名物(特徴)だったという「復讐」が、都市部のやくざたちが彼らの仇を討ち始めたことで全国に広がったのだと。
こうした仕返しは2018年には少なくとも77件起きていて、その83%のケースにおいて、麻薬取引に関する "契約"としてなされている。
そうした組織的な犯罪の増加に加えて、専門家によると家庭内暴力に関する暴力の増加傾向が関係しているとのことだ。去年1年だけで121人の女性がパートナーによる暴力で亡くなっている(DV)が、事件数はかなりの野蛮さを持って増加している。
7月25日には、(DVが理由で監視下に置かれていた)夫が、妻を車で壁に向けてひき殺すという事件がおきた。
28日は、30代の妊婦が背中から何発か銃弾を受けて亡くなった状態で車内から発見された。彼女は自身の子どもたちを引き取るために元パートナーのもとを訪れようとしていたところだったという。
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ちなみに気になって調べたところ、
日本は三か月ごとでは出ておらず、今年1月~6月での殺人事件は全国で488件とのことだ(前年度同時期から26件増)。
※ここには7月18日に発生した「京都アニメーション」放火事件は含まれていない。
犯罪統計 平成31年1月~令和元年6月犯罪統計 2019年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
ちなみに留意すべき点として、日本の人口はフランスの約2倍(日本は約1.3億人。フランスは約6700万人)。
そう考えると、やっぱりフランスの方が殺人事件の件数は多いと思う。
(・・・なぜというと、ものすごく単純計算だけど、今期が前期の16%増で248件だとすると2~4月は214件発生。そうすると6か月で462件だ。日本の二分の一の人口で、同じだけの事件数だから。)
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ただやっぱり、個人的には、その背景にある人と人のやりとりをきちんと理解・検証することも重要だと思う。
どんな理由で事件起きたのか。どんな方が亡くなられたのか。どうして殺人を犯してしまったのか・・・。そこに解決の糸口があるとも思うから。
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ちなみに銃社会・アメリカでは数日前(8月5日)、タイムからこんな記事が出ていた。
2019年のこれまでで(つまり1月から8月までということ)、銃による死者がすでに62人だそうだ。
この数について、銃が一般的ではない日本だと(フランスでも)多いとも少ないとも言えないけど、負傷者が複数の発砲事件がほぼ毎日起きている、という事実には、びっくりする。
Mass Shootings in 2019 | Gun Violence Archive
よく、たとえば「男女平等」や「表現の自由」などで「アメリカでは~」とか「ヨーロッパでは~」という引き合いに出す論理を耳にする。
確かに、ある点においては見習う点べきがある。けれど、そのほかの点では必ずしも見習うべきでない点もある。
すべては相対的で、パーフェクトな国、パーフェクトな場所、パーフェクトな人なんて存在しないのだ。
だから、いろいろなものを見比べて、ベターを考えるのが、やっぱり大事だと思った。
皆さんはどう思いますか。