森の日記

見たこと、知ったこと、感じたこと。

IS(イスラミック・ステート)のこと、覚えていますか。

きょうは、6月18日(おととい)の記事で気になるものを見つけたので。

 

イスラミック・ステートって、覚えていますか。当時ニュースで見たときのざわざわした感じを私はこの記事を読んで思い出したの。

だから、きょうは記事をベースに和訳します。

 

premium.lefigaro.fr

 

タイトルは「ISはどのようにして女性たちを巻き込むのか」。

以前、仕事で、ISの戦士と"結婚"した女性ジャーナリストへのインタビューに同席したことがあった。そのとき聞いた、ISの、若い女性の関心を引く手法が、印象に残っていた。

(巧みだ、とは私は思わなかった。むしろ安易で滑稽な印象。ひたすら画面越しに、直接会ったこともない相手の女性を褒めちぎる、とか。愛をささやき続けるとか。でも、けっこう成功しているのだ。。)

 

この記事のもととなっているのは、Europoleという、ハーグにあるヨーロッパ間の刑事警察協力組織による報告だ。2014年7月から2018年8月までのISの出版物を読み解いたという。

報告の中心となったのは、特に ≪Diwan central des medias≫("イスラム帝国"の"情報省”)から出版されているアラビア語の週刊誌「Al-Naba」(現在も続いている)。

それに加えて、≪Centre des medias al-Hayat≫(al-Hayatメディアセンター)から出版され、もう絶版になった二つの英語の月刊誌「Dabiq」(2016年7月31日の15号が最後)と「Rumiyah」(2017年9月9日の13号が最後)、さらに「Les femmes dans l'Etat islamique(ISの女性たち)」といった出版物なども検証に使われたそうだ

 

この時点でISの"出版物"の多さにびっくり。。。やっぱ情報って重要なのだろうね…

 

Europolの「ヨーロッパ対テロリズムセンター(le Centre europeen de lutte contre le terrorisme d'Europol)」のディレクターが強調したのが、ISが2014年以降とくに女性を勧誘していたこと。とりわけ2000年代に生まれSNSに強い「ミレニアム世代」を狙っていたという。

 

"イスラム帝国"を形成していた占領地域においてはもちろん、欧米のイスラム教国ではない国においても、ISにとって、女性たちが欠かせない存在になっていた。超保守的なイデオロギーと、医療・警察・宗教などの幅広い活動やジハードへの参加を促すメッセージをまぜあわせて彼女たちを引きつけた。注目すべきなのは、こうした「勧誘」が、欧米諸国をターゲットとした英語の出版物でより顕著だったということだ。

 

原則では、ISは "原理的な" イスラム教主義者に忠実。つまり、何よりも、女性は「男性へ隷属するもの」、そして、ジハードに備え"厳しく育てる"「子どもの母となるべきもの」。

ただ、状況に即した例外も。女性が、シリア・イラク国境地区を男性付き添いなしに訪ねる、ということだ。これは、組織の女性メンバーによって神の原則の名の下に守られ、広められたのだそうだ。

その一方で、2016年には「al-Naba」で、ニカブを身につけた女性に公衆の面前でアイスを食べないよう促していたらしい(あまりにエロチックな姿で、男性を刺激することを避けるためとの目的のことだ。。)。

 

これらの教義に基づく、ISにおける "フェミニズム" プロパガンダの重要ポイントとは。

情緒的なトーンで、カリフ("イスラム帝国")の復活や、虐げられてきた"イスラムコミュニティ"の防衛を歌い上げる。そして、"イスラム帝国" に加わる女性は男性と同じように殉職と神からの褒美を求めなければならないと。

現地で直面する困難は、信者たちがパラダイス(天国)へ近づく計画の一部なのだと。

 

ISのこうしたイデオロギーは、女性たちに、武装してジハードに参加することを促しながら、SNS特有の "共鳴効果" によるファナティズム(狂信)の恩恵にあやかっているという。

 

確かに、SNSは、「自分と同じ/近いひとたち」とだけつながりあって、タイムラインが似たような主義主張にあふれかえって、あたかも「これが世界のすべて!」と思い込ませるようなところがある。それが常識、当たり前なのだ、、、とすり込まれていってしまうかもしれないということだ。

こうした手法はアルカイダでも事項されていてISが先駆者というわけではないが、ISは、この手法を "システム化" した。

2017年末から、ISは女性の戦闘への参加を明らかに促すようになり、「Al-Naba」の3号ではジハードを正当化する記事をのせたという。2018年2月には、al-Hayatメディアセンターが、アラビア語と英語でムービーを公開し、クルド労働者党のクルド人と戦う、女性たちの姿を伝えた。

 

Europolの研究者たちは、こうしたISの対女性戦略の変遷は、かなり懸念されるべきと結論づけている。とくに、ヨーロッパにおける若いジハーディストへの頻繁な呼びかけや、シリアやイラクの収容キャンプの女性たちへの絶え間ない過激化への呼びかけなどから判断すると。

 

いまのところ、ISは女性ジハーディストたちの動員を "まだ" 呼びかけてはいないけれど、すでに構築しているし、条件は整っているのだと。

 

読んで訳して、あたまに浮かんだのはただひとこと。。

 

なんと、不気味なニュース。。。。

 

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ただ、2015年のパリ同時テロ以降、断続的に若い女性の問題は話題になっている。いかにもヨーロピアンな(ムスリムの文化的背景を持っていない)かわいらしい少女たちがシリアに渡ったり、テロ未遂を起こしたり、といったニュースはこれまでも何度も耳にしてきている。

問題は、移民2世、3世たちだけではないのだ。

若者世代の「生き方」「生きる希望」の問題なのではないかと思った。