森の日記

見たこと、知ったこと、感じたこと。

結婚2

そんなある日。

共通の大学時代の友人の結婚パーティーの前日。

 

RからLINEで結婚式がなくなったと言う連絡がきた。

 楽天が提供する、無料の、泣き崩れるパンダのスタンプと共に送られてきたそのことばに、「は?」と言う思いしか、浮かばなかった。

 

詳しいことは明日話す、と言う彼女に深く聞けぬまま、友人の結婚パーティーへ行った。

そこでは相変わらずきれいな彼女がいて、ドレスも髪型も自然なメイクも本当に似合っているな・・・とわたしは若干の劣等感とともにまぶしく彼女を見ていた。

 

そして、帰り道。

他の友人たちに「次はRだね~」と声をかけられ、「実は・・・なくなりました」と言った彼女。

 

「えっ・・・!?」と前のめりに食いつきそうになる友人たちに、「詳しくはまた・・・」「いまはちょっと、そっとしておいて」と濁し、そのまま静かに別れた。地方に暮らす友人たちは、結婚式の余韻と混乱の中でそれぞれ帰って行ったのかもしれない。

 

■□◆□■

わたしとRは、結婚パーティー帰りの装いのまま、駅近くのカフェに入った。そこで、Rの恋人(婚約者)の素行、Rの動揺と混乱、そして、結果として破談(白紙)にした決意を聞いた。

それに対して何が言える?

そんなことが現実にあるのか、あたまがくらっとした。結婚てつみかさねの結果だし、あんなに何年間も一緒にいて、幸せそうだったのに。かけることばがみつからず、ぱっとしたことも言えず。天気の良い恵比寿の窓際のカフェで、それでも会話を続けていたことだけ覚えている。

 

ただ。嫌でも認めなくてはいけないのは、心のどこか片隅で、少し、ほっとしている自分がいたこと。「わたしの大好きなRが帰ってくる」と、思った自分がいたこと。。。

 

それは、フランス人の恋人が出来て以来、「彼氏ファースト」になり、友人たちの前でもべたべたいちゃいちゃするRではなく。理知的で、努力家で、冷静で優しい世界へのまなざしをもったRが、“わたしのライバル”として、帰ってくる、と思ったのだ。

 

 

結婚をするのだから、大好きな彼と両思いになれたのだから、仕方がない。 

そう考えてどうにか納得しようとしていた、彼女の“変化”。その彼女が、元に戻るかもしれない・・・。私自身は表向きは彼女の悲しみに共感しつつ、どこかほんのすこし、うれしさも感じていた。