森の日記

見たこと、知ったこと、感じたこと。

一年間の総括、そのさん。

先日ふたつ書いた総括に続き。

 

「すまい」って、大事だな。ということ。

 

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じつは、こちらに来たばかりの頃、家が決まっていなかった。

 

そんなこと、よくあることだ、と思うかも知れません。

そうだけど、そうなんですけど、

やっぱり、じわじわと精神的に疲労がたまるのです・・・。

 

来る前に決める、もしくはせめて候補を立てておくとかすれば良かったのだけど、直前までものすごく忙しくて、ほとんど夜逃げのように荷造りをして出てきてしまった。

基基本的に身軽が好きなので、スーツケースひとつとボストンバッグひとつのみで。

(スーツケースは規定の大きさの範囲内で最大のサイズ。そしたら重量オーバーで空港で1万円かかった。。悲)

 

その二つの荷物と共に、ホテルと友人宅を渡り歩きながら探すことになったのだけど。

 

フランスに着いて数日後に始業式、次いですぐ授業が始まったので、それも余計に影響したのかもしれない。

まだ行きつけの図書館とかカフェがあるわけでもなく、予習・復習しなくてはちっとも理解出来ていないことを嫌と言うほど自覚しながらも、そもそも家を探さないといつまでたってもこの状況から抜け出せない。

 

。。。

 

私自身は恵まれたことに友人たちが快く泊めてくれ、そのおかげで激高のホテル滞在費を数泊分はおさえることが出来たけど、ひとのおうちにお邪魔することも、これまたやっぱり、申し訳なくて。。

 

「帰ることの出来る場所」「じぶんの"巣"」って、精神の安定にとても大事なのです。

 

先行き不透明だったもうひとつの理由として、時期が時期(9月下旬)だったから不動産の動くタイミングを逃してしまっていた、ということもあると思う。

いろんなサイトを見てもほとんど部屋のアナウンスはなく、あったとしても基本的にどこも女中部屋(フランスに良くある、建物の最上階の部屋。7階とか8階がざらな上に、10㎡以下の狭さ。私が見たのは6㎡とか7㎡)。まず、くるくるまわるらせん階段をその高さまで、重量オーバーしているスーツケース持って上がる自信がなかった(これは歳のせいかもしれない・・・)。しかもそんなに安くなくて。しかも時期もずれているから大家も早く入居者が欲しいから、催促強め。

 

フランス人向けの不動産のアナウンスも見たんだけど、そっちだと、契約するためには銀行口座とか収入証明とか出生証明書とかやたらと必要な書類が多くて、そもそも銀行は住まいがないと開けられないのに開けているはずがなくて、交渉するほどの費用対効果が見込めず、断念し・・・。

 

・・・なんかもう、日々「しょんぼり」ということばがぴったりの心持ちだった。

 

けっきょく、最後にもう、困って頼った有料の留学生向けエージェント(アパートを紹介する手数料をとられる)が、「ここしか紹介できません(これで無理ならお代はお返しするのでうちでは案内できません)」と言われたアパートが、

自分が一番住みたかった地区で、

4階(女中部屋じゃない!)で許容範囲、

小さいけれどそれまで見た部屋と比べ明らかにきちんと整っていた

ので、即決したというわけで、「終わりよければ全てよし」ではあったんだけど。

 

ずっとスーツケースとボストンバッグをもって、日々の泊まる場所(ホテルだったり、友人宅だったり)を回ったんだけど、「身ひとつ」って、これまで感じた以上に所在なくて。

 

なんか、この経験をきっかけに、すごくホームレスのひとのことを考えたのです。

そして、ホテルや友人宅だったら心配いらないけど、ホームレスのひとたちって、常に「身ひとつ」だから、たとえば洋服とか食べものとか拾った「財産」があったとしても、それを常に持ち歩かなくちゃいけない。そういう状況が、就職だとか、生活再建に踏み込みづらい理由になっている、と、のちのちジャーナリスト仲間に聞いた。

(ホームレスのひとたちの持ち物なんて、だれもとらない!と思うかも知れないけど、捨てられちゃうかも知れないし、ほかのホームレスにとられちゃうかもしれないし、やっぱり自分の持ち物を放置するって心許ない気持ちは同じだと思う。)

 

 

日本では「家に帰りたくない」というひとたちの話題も耳にするけど(女子高校生とか、サラリーマンとか・・・ちなみに私も大学生まで「家にいたくない」人間で、できる限り外に出ていた)。

でもやっぱり、地震とかの災害が起きたり、大雨が降ったり、不安で心細くなったりしたとき、自分の部屋のふとんにもぐりこみたい、って思う気持ち、だれにでもあると思う。

 

生まれたときからあたりまえに持っているもののありがたみって、じつはなかなか実感する機会がなかったりするのだな、と思ったの。

 

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ちなみにそうして見つけたパリのすまい、入居数日後に水漏れ(給湯器が古すぎて)、数週間後に子ネズミの出現など、まあトラブルもあったけど、良い思い出だ。

と、思っていたら、じつは日曜日の夜に家に帰ってきたらなぜか我が家だけ停電していて、月曜から出張だったので、「帰ってきたら直ってるかな?」と思っていたら、昨夜帰ってきても直ってなくて。。。

けさ、冷蔵庫の中身の現実と向き合いました。悲

なにがつらいって、冷蔵庫ないこともだけど、料理できないこともだけど、充電できないこともだけど、、、何より、お湯がでないこと。悲

水が止まっていないことが不幸中の幸いだけど、シャワーが水シャワーなのです。

 

夏でよかった。フランスの夏は20度以下になることもよくあるけど・・・。

 

正直、電気か水かと言われたら、水のほうが大事だと改めて実感。水がないとトイレもシャワーもダメになるし、手も洗えない。

・・・という問題ではなく。

 

こういういろんなことがあったから、人間って、たいていの不便でも生きていける、って改めて思う。

日本はサービスの不具合にとても敏感で、ある種、過剰なところがある。

電車が多少遅れたって死なないし(それよりも電車で飛び込み自殺をしてしまうひとたちを助ける仕組みを考えた方が良い)、お店のひとも人間なんだから間違えることもあるし、遅刻することもある。

 

と、いうことを改めて感じる1年でした。

 

それにしても、電気、早くなんとかしたい。