再出発の、所信表明。
はちがつ、8月、八月、葉月、August、Août。
こう書いて思ったけど、日本語ってほんとうに、細かい。単純な月の名前の書き方だけで、4種類あるんだもの。
例えば私は、「本当」という言葉を、ひらがなで書く方が好きだったりする。あと、「言葉」もそう。「ほんとう」と「ことば」と書いた方が、そこに込める自分の思いの重さを正確に表せている気がして。私は、こうした漢字・かたかな・ひらがなと、その組み合わせでいかようにも広がる表現の幅というものがとても好きだ。そして、そうした魅力を意識するようになったのは、外国語を学び始めてからのように思う。
たとえば、お別れをいう場合、フランス語では「Au revoir」「Adieu」「A bientôt」「Salut」など、いろいろな言い方がある。
「Adieu」は、今まで聞いたことがない。というのも、今生の別れのような、ものすごい強い意味での「さようなら」だから(たとえば、命に関わる、もしくは恋人が別れるときなどに使われるみたい)。
「Au revoir」は比較的普通の意味での「さようなら」(でも字面の意味としては“また会うときに”という表現=Au が「~ときに」のような意味で、「revoir」は再会という意味だから)。
「A bientôt」はもう少し近い「さようなら」で、「またすぐにね」と言ったような意味合い(Aはさっきと同じで「~ときに」のような意味で、「bientôt」はまもなくという意味だから)。
「Salut」とか「Chao」は、「じゃあね!」みたいなカジュアルな表現だ。
日本語では、お別れの時に「さようなら」ときちんということはまれで、「では、また」とか「お気をつけて」とか、「では、失礼します」みたいないろいろな表現がある。
こういう表現って、自分のからだの一部となって口から出ているものだ。
ふ、と意識をしないと改めて考えるきっかけもないのではないか、と、個人的には思う。外国にいると、ふとしたときに「あ、こういうシチュエーションでこんな言い方もするんだな」と思う場面があって、それはふと日本語での表現に立ち返らせてくれる瞬間でもあるのだ。
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と、つらつらと思ったことを書きましたが、きょうからまた、一日一投稿、一日一ニュース、を再開します。そして、それにあわせて、自分の生活の記録も。
なぜかというと、私のフランスでの滞在が、残り、ちょうど40日だから。
私の長い長いモラトリアム期間が、もうすぐ終わる。長さで言えば、365日マイナス一週間くらい。
いまざっくり思うのは、この1年が、ほんとうに長かったということ。そして、がむしゃらだったということ。まだ終わっていないんだけど、4日前に大きなタスクを終えて、いま残されているのはかなり自由裁量度の高い、論文課題とリサーチ。そしてこの数日、もうあまり生産性のないだらりとした日々を送っていて、私自身はその時間の使い方も大大大好きなんだけど、たぶん一生に一回しかない、このモラトリアム期間の最後の日々、「何していたんだっけ?」と思うような時間にはしたくないって、今日、思ったのだ。
だから、いまここで、自分の残りの計画・自分のやりたいことを、宣言しておく。
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実は、いままでの人生、私はほとんど「宣言」というものをしたことがない。受験でも、就活でも、この留学でも、極力「宣言しない」ことを選んできた。有言実行より、不言実行が性にあっている。
「宣言すること」をおこがましい、と感じていたし(なんなら、周囲の人の意識を刺激することに対しておこがましいって思っていた。どれだけひねくれているのか、と思うけど!)「成果を出してから」「報告」をする方が、自分として納得がいったのだ。
でもそれは同時に、「有言不実行」になることに対する恐れもあったんだと思う(失敗したらかっこわるい、えらそうに言って出来なかったらみっともないって)。
他のひとが宣言していることに対して、すごいな、うらやましいなと思ったし、そのひとが結果として成功しようがしまいが自分自身はまったく気にならなかったのにも関わらず、なぜか自分に対してだけは、やたらとおびえていた。逆の自意識過剰だったんだと思う。
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でも、そういう自分は、少しずつ変えていきたい。自分のことばを言いよどんでしまうようには、なりたくない。
目指せ、有言実行。実行できなかったら、「なぜ出来なかったか」もちゃんと考える。
それでは、以下、この40日間で達成したいこと。
1.一日一ニュース。朝ラジオとフランス・アンフォ・ビデオに触れる。
旅行に出るときは、「つぶやき」でもよし。でも、自分の思考を言語化すること。
2.フランスの食材を意識する。マルシェ、行く。
なぜならこれまで、モノプリやフランプリ、カルフールといった大手スーパーしか行かず、食べるものも、ビニールにつつまれた簡易的な食材ばかりだったから。それか、中華系スーパーでえせ和食みたいなものを作るか。せっかくの機会なので、フランスの味に理解を深めたい。でも、マルシェ、バカンス中、あるのかな・・・?あと、課題は、自分ひとりだと極端に制作意欲を失うというこの自分の性分・・・。
3.在パリ日本人とのネットワーク作り。
これは、苦手なのでどこまでできるか・・・。ひとまず、Yさんに紹介してもらった方に会うこと、これまで出会った人ともう一度お会いする機会を作ること。
4.在パリ・フランス人とのネットワーク作り。
これも、苦手なのでどこまでできるか・・・。(と書いて思ったけど、要するに自分がどれほどコミュ障かということ。。)でも、教授に紹介してもらった方に連絡すること、FTVのSさんに会うこと、院で出会った人や個人的な友だちたち!
5.帰国までに最低10つの美術館へ行く!
美術館は、なんだかんだと自分の中で「ぜいたく・・・!」と思い、勉強を優先してしまった。でも、行く!!
6.一日一区、と決めて、すべての地区をまわる。
これ、いま思いついたんだけど、出来るかな・・・?笑 パリには20区あります。あと、出来れば郊外には行きたいのです。だから、まわるぞ!
7.Porte de la Chapelleエリアに通う。アソシエーション探す。
一週間以内にひとまず現地に行ってみよう。取材の糸口を探そう。
8.誰とでもいいから、とにかく話す。話す。話す。
いま、まだ、フランス語が話し相手によってレベルにむらがあるから。いろんなひとといろんな話をする。
9.いまさらだけど、論文がんばる。規則正しい生活。
9つめにようやく。笑 とりあえず、規則正しく起きること。国立図書館、かよう!
10.いまここにいることを、全力で楽しむ。
ホームシックになって久しいけど、帰ったらきっと恋しくなる、ここでの生活。いまがいましかないこと。いま、私の大好きな地区の大好きなカフェのテラスでポップコーン食べながらこれを書いているんだけど、この光景の中で暮らせる、人生のなかでたった一度しかないであろうこの時間を、忘れないよう、味わうこと。
書いてみると、あんまりたいした数はなかった。笑
ただ、こっちにたったひとりで来て、自分の能力が何も通用しない時間を経験して、改めて思ったことがあって。
それは、完璧な国、完璧な町、完璧な人なんて、いないということ。どこにでも良いところと悪いところがあって、いちばん大事なのは、そんな環境のなかで、じぶんが、“どう”生きるのか、ということ。日本でもフランスでもイギリスでもタイでもルワンダでも、どこで生きていたって、すてきなひとはすてきだし、いやなひとはいやなひと。どこにだっていろんなひとがいる。
でも、文化の違う国の中にどっぷり浸かることは、自分を相対化できるという意味で、引き出しも増えるし、豊かになる。その良いところをきちんと吸収して、しなやかに、しぶとく、まっすぐに生きていきたい。きれいごとかもしれないけど、きれいごとを心の中に持ち続けられる人間で、いたい。
明日から、一日一投稿。がんばる!