森の日記

見たこと、知ったこと、感じたこと。

ローマからの便り

ちょっと引き続き先日のブログの続きは後回しになりますが…

先週後半から昨日にかけて訪れたイタリア・ローマの旅について、忘れぬうちに言葉にしておきたいと思います。あらためて、「旅」ってなんなのか、考えるよいきっかけとなる時間でした。

 

今回、フランス人の11人にまざって、4泊5日でローマへ。

ヨーロッパの国々はそこそこ訪ねてきたけど、実はイタリアは行ったことがなく、初めて。わくわくして訪ねたのでした。

 

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各自、現地集合だったので、格安航空券でひとり到着した空港から滞在先のホテルへの移動に使ったのは、市営バス。

このバスがまさに

「どんがらがっしゃん」

という音を体現しているかのような振動で。

 

アスファルトの道路だけど、揺れるに加えて

「どんがらがっしゃん」。

フィリピンの市営バスのジェットコースター並のスピード(しかも中古のバスで窓ガラスなし)もかなりスリリングだったけど、

この

「どんがらがっしゃん」

も、

バスの底が抜けるんじゃないかと思うほどの振動。うかうかうたた寝もできない(もちろん外国ではしない方がいいから、いいのだけど)。

 

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窓の外に広がるのは、ここはパリではない、ということがもう一目瞭然の光景。

 

ぐわんと広がる草原と、その中にたたずむ赤茶けたレンガ作りの建物や橋、暑い日ざしの中を歩く人影。

 

ああ、ここにも生きる人がいる。日常がある。

 

トレヴィの泉とか、コロッセオとか、価値ある観光名所を訪れることも旅の醍醐味ではあるけれど、私は、こうした、「観光」からこぼれ落ちた風景でである人の生きる空気が大好きだ。それは、訪れたからこそ初めて分かる、"その土地の空気"だと思う。空気を吸って、目を閉じて、気温を肌で感じて、地元住民と視線を交わしたり、軽口をたたいたりして。

 

有名な、歴史ある場所や実物を自分の目でじっさいに見るということも素晴らしいけれど、実際に行くよりも、それにまつわるドキュメンタリー番組を見た方が、実はよほど歴史的背景とか細部にわたるこだわりとかを理解出来たりするのも事実だ。 

歴史的建造物の前では、たくさんの人たちがスマートフォンを向けて撮影していたけれど、素人の似たようなアングルの写真をSNSにアップするより、プロの撮った写真を見せて「ここに行ったよ」というだけで十分なのではないか、と思ったりもする(あまのじゃくすぎるかな)。

 

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インターネットという最強・最速のネットワーキングを手にした現代の私たち。

もしも「どこでもドア」が出来たら、また変わっていくのかも知れないけれど、いま、現代に生きる私たちにとっての旅の大事な要素というのは、やっぱり「その場に行かなければ感じられない/知り得ない」空気ではないかと思うのだ。

 

その土地に生きる人の、ありふれた日常の切れ端を垣間見ることが、私にとって旅する目的の大きなひとつなのだ。